とりあえず増減分析

※仕事の話は、ほとんどフィクションです。most is a lie.
 
仕事以外で人に会うとよく、「会計士って何やってるの?」ってよく聞かれます。
主に合コンと実家で。
私の場合、ギョーカイ外の人に会う機会がそのくらいしかないのですが、
合コン相手はともかく、家族もいまだに私が何をやっているのかよく把握していないところがあるようなのが、
アレ〜、なのです。
きっと私自身が仕事内容をよくわかっていないからなのでしょう。
 
んで、「何やってるの」と聞かれると、「企業の決算報告が正しいかどうかチェックしてるんすよ〜」とか答えたり。
 
「どうやってチェックするの」
「決算書とか見てても何もわからないから、とりあえず去年の数値と比べたりするんですよ〜。
 んで、売上とか販売費とか固定資産とかが、やたら増えたり減ったりしてたら詳しく調べるんですよ〜。
 たとえば、売上げが去年も一昨年も5000万円ぐらいだったのに、今年10億円になっていたら「ホンマか?」って思うじゃないですか。
 そしたら、経理の人になんで売上げが増えたのか質問するんですよ。
 んで、「臨時に9億5000万円の注文が入ったんですよ」と言われたら、その大口注文の契約書を見せてもらう。
 または「今年のはじめに店の数を20倍にしたんですよ」と言われたら、店舗の賃貸借契約書を見せてもらう。
 そんな感じで、まあ増えたり減ったりの原因を分析する?みたいな?」
 
というわけで、わけがわからなかったらとりあえず前期比較の増減分析です。
 
新規の客先にて。
 
現場主任(主査とかインチャージとか呼ばれる):経理さんから販管費(販売費および一般管理費)のデータをもらったから、前期比較表を作っておいて。
 
ヒラのスタッフ:作りました。
主任:異常な増減はない?
ヒラ:今年度に入ってから「支払手数料」が500万円ぐらい増えています
主任:じゃあ、支払手数料のうちで、何が増えているか調べておいて。こっちの資料の束に支払手数料の内訳表が入っているはずだから。

ヒラ:支払手数料の内訳表を見つけました。
主任:何が増えてた?
ヒラ:「銀行支払手数料」「委託業務支払手数料」はほとんど変化がありません。ただ、「その他の支払手数料」が500万円増えています。
主任:気になる?
ヒラ:気になりますよ。「その他の」って言葉もなんか怪しいですし。
主任:じゃあ、経理の人に何が500万円増えたのか質問してきて。気になるんだったら。
ヒラ:証憑ももらってきたほうがいいですか?領収書とか。
主任:それは必要に応じて。
 
ヒラ:すみません、「その他の支払手数料」が500万円ほど増えているようですが、原因は何でしょうか?
経理課長(顧客):ちょっと待ってください、いま会計システムの補助元帳を起動します。
ヒラ:お手数をかけます。
経理:えっと、500万、500万っと。ああ、多分これですね。
 
(その他の支払手数料)

相手科目 摘要 借方 貸方
当座預金 3月支払分監査報酬 (監査法人クリエイティブ会計事務所) 5,000,000  

 
ヒラ:これはうちの・・・弊法人の監査報酬ですね。
経理:そのようですね。
 
主任:どうだった?
ヒラ:うちの監査報酬でした。
主任:ああやっぱり。
ヒラ:えーわかっていたんですか?こっちは質問して赤っ恥でしたよ。
主任:いや、君が気になるって言うから、念のために。
ヒラ:・・・ちなみに、証憑として契約書もお借りしてきたんですけど、ご覧になりますか?
主任:それはいらない。契約書なら事務所にもあるし。コピーなら今日も持ってきてるよ。見る?
ヒラ:・・・契約書、お返ししてきますね。